日本では「社会変革」よりも「社会貢献」という言葉が多く使われているように思います。

一方で、2015年から私は毎年参加しているアメリカで開催されている社会問題解決と若者に関するイベントでは、講演や参加者の声の中で、しきりに「社会変革(Social Change)」という言葉が使われています。あくまで印象ですが、「社会変革」という言葉の前提としては、「現状」を変えていきたいものという認識があり、また人によっては、差別や人権侵害など、現在の状況は不当であってはならない状況という「危機意識」を感じることがあります。アメリカにおける人種差別やヘイトクライム、続発する銃乱射事件などはまさにその状況だと言えるでしょう。

では、「社会貢献」という言葉はどうでしょうか。
基本的には、「貢献」という言葉には、「支える」という意味あいが強く、現状の社会の仕組みに対する助力というイメージがあるように思います。納税、自衛官や軍人としての奉仕、あるいは、清掃など地域にいる人々を幸せにする活動なども当てはまるかと思います。もちろん、言葉は使う人や使われているように文脈、時代でも意味を変えるものなので、一概に決めつけてはいけませんが、私は「社会貢献」という言葉には、自己責任ではなく、社会構造の中で否応なく生まれている過酷な状況を変えたいという「緊急性」や「意思」は感じにくいように思っています。


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2015年のImpact National Conference(ロサンゼルス)では、大学職員が「アメリカにおける大学の役割は、人権を擁護し、民主主義を守り、社会正義を追求することだ」と発言をしていた。社会を変えることに対する強い意志が感じられた。(Photo by Yoichi SUZUKI)