2018年11月25日から30日までの6日間にわたって、ニュージーランドの主要都市の1つであるオークランドで開催されていた、基礎的なリーダーシップトレーニング(Basic Leadership Development Course; 以下BLDC)に評議員を務めるNPO法人 開発教育協会のメンバーとして参加してきました。 BLDCは、アジアと南太平洋にて基礎教育や成人教育にかかわる団体のネットワークであるASPBA(Asia South Pacific Association for Basic and Adult Education)の主催により開催されました。アジア、南太平洋諸国で活動するアクティビストが30名ほど集まりました。30-40歳代が参加者の中心であり、今回は南太平洋諸国からの参加者が多くいました。

BLDC 4日目(28日)には、SDGs(持続可能な開発目標)の中でも度々言及され、日本では2011年の東日本大震災以降、防災の観点からも度々紹介をされている”Resilience”、及びその教育面でのブリーフィングがありました。

まず、Resilienceは日本語では、強靭性、しなやかさなどと訳されることがあり、イメージとしては竹が曲がっても折れずに元に戻る様子と言えるでしょう。

Resilienceには、大きく分けて5つの視点があり、「Psychology(心理学的視点)」「Engineering(工学的視点)」「Ecology(生態学的視点)」「Disaster Relief(災害復旧支援的視点)」「Education(教育的視点)」があるそうです。

こうした視点は、2015年の万民のための教育(Education For All)インチョン会議においてもこの5つの視点を踏まえたResilienceを教育に内包していくかが言及されていました。また、前述の通り、SDGsにおいては、教育に関するゴール4だけでなく、ResilienceSDGs全体にとってベースとなる分野横断的に重要な視点です。

<<>>各視点におけるResilience
Psychology 和解、メンタルケア
Engineering 耐震技術
Ecology 植林活動
Disaster Relief 防災活動
Education 上記に関する教育活動

Resilienceを教育活動に組み込んだ際に3つの学習ステップがあります。

Reactive 状況に対する事後的対応
Proactive/ Adaptive 適応的な対応
Transformative システム自体の変更

BLDC_Resilience1
SDGsの中におけるResilienceの重要性とその教育面における意味合いに関して紹介するASPBAE 代表のRobbie(Photo By Yoichi SUZUKI)

BLDCでは、それぞれの国でResilienceに関連してどのような活動をしているか少人数で割り振られた学習グループごとに話し合いました。私の属するグループでは、フィリピン、バヌアツ、日本、ニュージーランド(地方)における事例を共有し、状況が似ていた日本とニュージーランドの事例を合わせて紹介しました。以下に例として記載します。

<<>>教育とResilience
<どのような課題があるのか>
日本、ニュージーランド共に、若者の孤立、低い自己肯定感、ハラスメント、自殺がある。

<Reactive>状況に対する事後的対応
カウンセリング、年齢の近い聞き手との対話、グループでの分かち合い
<Proactive/ Adaptive>適応的な対応
定期的に当事者が会うことでお互いの痛みを分かち合う場の提供
<Transformative>システム自体の変更これまでの痛みが生まれる社会的背景を理解し、痛みとの関係性の変革を目指す
当事者がその経験を活かして痛みを抱く人々を手助けする

BLDC_Resilience2
教育/学習活動におけるResilience(Photo By Yoichi SUZUKI) 

日本においての社会教育活動も改めて、Resilienceという観点から見つめなおすよい機会になりました。